Q.子どものころ「介護の仕事」というとどんなイメージを持っていましたか
介護の仕事を実際に目にする機会がなかったので、テレビを観たりして、「高齢者のお世話をする」という一方的なイメージを持っていたように思います。実際に介護の現場で働いてみると、高齢者の方のお世話というよりは「足りないところをサポートする仕事」というイメージに変わりました。また、自分が思っていたよりも明るい現場で驚きました。
Q.なぜこの仕事を選びましたか
5歳年上のいとこが理学療法士で、小さい頃、仕事の話を聞いているうちに「なんだかかっこいいな」と、この仕事に興味が出てきたんです。それが最初のきっかけですね。
それと高校時代に部活の剣道でけがをしてしまい、病院に通いはじめました。そこで理学療法士さんと接するようになり、体の使い方や筋肉の仕組みついて丁寧に教えてもらい、ますます理学療法士の仕事に魅力を感じて本気で目指すようになりました。
Q.お仕事で印象に残ったエピソードを教えてください。
リハビリ担当としてお部屋に伺った時に「娘みたい」と喜んでくれた入所者の方のことは忘れられません。とても一生懸命な方で、私がお部屋から離れた時もお伝えしたことをしっかり取り組んでくださって。ご家族とも仲が良く、リハビリの様子を見に来られていました。ご高齢のため、施設で最期を迎えられましたが、ご家族が大変悲しまれていて、ご家族にとってとても大きな存在でいらっしゃったんだなと。いつか自分もそんな存在になれたらいいな、と尊敬の気持ちでいます。
今のお仕事の魅力をわかりやすく教えてください
自分から積極的に関わることで、入所者さんの笑顔や元気を引き出せるというところがとても面白いと思い、やりがいを感じています。
実は、最初に就職したのは病院でした。けがの手術をした方や片麻痺のある患者さんなどのリハビリを担当していましたが、「もう少しみてあげられたら」と思っているうちに退院、ということが多々あって。介護老人保健施設では、入所者さんのやりたいことなど聞き出しながら、生活に寄り添ったリハビリができると知り、今の仕事を志望しました。
仕事の環境としては楽しい仲間に出会えることですね。活発な人が多く、気軽に話せる雰囲気です。リハビリのプラン作成などで悩んだ時は先輩に相談して教えていただくことも。「話してくれてありがとうね」と気持ちよく応えてくれる頼もしい先輩もいて、私もこういう存在になりたいなと憧れています。
取材を終えて
理学療法士という仕事を早いうちに知ったことで、まっすぐその道に進んだ山本さん。おばあちゃんの肩を揉んだり、膝の痛みにアドバイスをしたり、「ありがとう」と感謝されるいとこの姿を見ながら、「かっこいい」と思ったとのこと。それが原点となり、理学療法士という夢をつかまれました。理学療法士になることがゴールではなく、「どんな理学療法士になりたいのか」自分の中で考えて行動されたことも興味深いお話でした。