Kidzacare Saga

医療法人天心堂志田病院 介護保険部 居宅介護支援事業所 介護支援専門員(ケアマネジャー) 香月未奈美さん
介護支援専門員(ケアマネジャー) 香月未奈美さん

Q.子どものころ「介護の仕事」というとどんなイメージを持っていましたか。

なんとなく大変そうだな、と。あまりいいイメージはなかったです。どんなところが大変なのかはわかっていませんでしたが、大人たちやテレビ等でなんとなくネガティブな印象を耳にしていたからですかね。
介護の仕事に就いた今も同世代の人から「介護の仕事って大変なんでしょ」と言われることがあります。じゃあ、他のお仕事は大変じゃないのかな?なんて思うことも。介護の仕事の大変さって「実際に仕事をする私たちの言葉」で広まったものではなく、「仕事をする私たちを見た方の印象」で広がっているんじゃないかなと。そんなことないよ、と伝えると今度は「無理しちゃって」と余計に大変な印象が広まっちゃうんじゃ、とぐるぐる考えてしまったり。
なので今は否定も肯定もせず、「私自身が大変とは思っていないからいいじゃない」とさっぱりとした正直な気持ちを伝えています。

Q.なぜこの仕事を選びましたか

三世代同居の家に育ち、両親は看護師をしていました。夜勤で家を空けるなど、忙しかった親の代わりに祖父母が面倒をみてくれていました。
 高校生の頃、進路について考えた時に、人の役に立つ仕事がしたいと思っていたのですが、親と同じ医療・看護系に進もうとは考えていなくて(笑)。今は違うかもしれませんが、当時夜勤などで忙しい姿を見ていたからですかね。親からは「ただ社会に出るよりも手に職をつけておいたほうがいいよ」とアドバイスをもらい、福祉専科のある短大に進みました。
短大を出てからは介護福祉士からスタートし、5年の実務経験を経て、26歳でケアマネジャーの資格を取りました。ケアマネジャーになろうと思ったのは、介護福祉士として働いていた時に先輩の仕事を見て、この仕事を続けるならスキルアップしてもっと先に進みたい、と思ったからです。

Q.お仕事で印象に残ったエピソードを教えてください。

もちろん、「ありがとう」って言われるのも嬉しいんですが、やっぱり「あなたに頼んでよかった」と言ってもらえた時が一番嬉しかったです。「私に」頼んでよかったということが。プランの調整は大変ですが、その頑張りを、ちゃんとわかってくれていた、認めてくれていた、評価されたということがうれしいんです。信頼してもらって、また次をお願いしてもらえたらいいな、と。
支援は、自分ひとりでは全然できなくて、「わー!どうしよう!」って、いろんな人に聞いたり提案してもらったりしながら、たくさんの方に関わってもらう中で、いつの間にか解決していくんです。行政や事業所、社会福祉協議会などの機関も含め、まわりに相談を投げることで、いつの間にか輪がつながって、支援が成り立つんですよね。

Q.今のお仕事の魅力をわかりやすく教えてください。

ケアマネジャーの仕事の魅力は、「ひとりで抱え込まなくていい」ところです。基本的にケアマネジャーは、人と人、人と事業所などと、結ぶのが仕事だと考えています。私自身、いろんな人とつながることで仕事ができています。地域のケアマネさん、佐賀県内のケアマネさんたちとつながって、仲よくなって、わからないことを聞いたり相談したり、自分にない知識をまわりから吸収しながら、お互いにつながって、連携して、自然と支援の輪が広がっていく。そういうところがケアマネジャーの仕事のいいところだなと思います。

取材を終えて

連携のプロ、香月さん。ケアマネジャー歴20年弱のベテランで事業所のマスコット的な存在です。明るく場をなごませつつも肩の力の抜けたお話しぶりで、この人なら何とかしてくれる!と、思わせる安心感があります。
介護の仕事は、職種や職務によって日勤のみ、夜勤を含めたシフト制など、働き方はさまざま。香月さんの職場では、ケアマネジャーは夜勤がないそうです。「でも、夜間を見てくれる人がいるからこそ、私たちは日中の仕事をがんばれるんですよ。」と、チームで行う介護職の心強さを語ってくれました。
また、香月さんは「ひとりでやろうとしない。まわりに投げることが大事です」と言います。どんな仕事であれ、たくさんの人が自然と寄って、知恵や方法を教えあう環境は、その職場の皆の働きやすさにつながりますよね。頼って頼られる、お互い様の環境を自ら作り上げていくことが、ケアマネジャーの仕事の本質なのかもしれません。