Q.子どもの時に「かいごのしごと」というとどんなイメージを持っていましたか
小さい頃は介護の仕事について、ご年配の方に寄り添ってお世話をするというイメージを持っていました。私自身、昔から世話好きな面があって、困っている子がいたりすると、どうにか助けてあげたいと思う性格だったようです。通知表で担任の先生からは「お友達のお世話ができる」と書いてもらったりしました。なので、介護の現場でのお仕事はその時から向いていたのかもしれません。
以前は医療の現場で働いていましたが、介護の現場は落ち着いてゆっくりと看護ができるので、お一人お一人に寄り添う時間が長く私の性格と合っているように感じます。
Q.なぜこの仕事を選びましたか
5歳からエレクトーンを習い続け、音楽に一番打ち込んでいましたが、中学3年生の進路選択の時に母から「音楽以外にも、何か道を考えてみたら?看護師さんとかはどう?」と言われました。あまりピンと来ていなかったのですが、音楽の道に進んで、ピアノやエレクトーンの先生になった時、レッスンは夕方や夜が中心になるだろうけど、看護師さんは、例えば将来結婚をして自分の子どもが幼稚園や保育園に通っている時間に仕事ができる、と。自分なりに看護師としての仕事を調べてみて、長い人生それぞれの年代に合わせて職場を変えたり、いろんな働き方ができるのかな、と興味がわいて。その後、音楽科と看護科それぞれ受かったため、看護科に進学することにしました。
Q.印象に残ったエピソードを教えてください
看取りケアをさせていただく中で、ご本人の調子が良い時やそうでない時の状況を見ながら、ご家族にできるだけ接してもらうよう努めています。また、ご家族と連携して、お家で飼っていたペットの写真や洋服を個室に飾るなど、生活の場としてのお部屋づくりを心がけます。そうするうちに、だんだん信頼関係も築けてきて、「姿が見えるだけでホッとする」とか、「ニコニコと声をかけてもらうと嬉しい」と言っていただいています。
また、看取られたご家族にも声をかけてもらえることがあり、「いろんな相談ができて安心して任せられた」「先生との間に入ってもらってよかった」など思いがけない言葉が嬉しくて印象に残っています。
Q.今のお仕事の魅力をわかりやすく教えてください
医療と介護の現場では、後任者への伝え方がまず違いますね。医療現場では専門用語が飛び交っていましたが、介護施設では専門的な用語は避けて、介護福祉士さんなど、どなたにもに分かりやすく正確な状況を伝えるよう心がけています。例えば「熱があります」「ここは注意してみておいてください」と。その状況を共有するかしないかで、夜間帯に何かあった時に、現場の動き方が全く変わってきます。一人ひとりの状態を冷静に把握し、しっかりと情報を伝えることはとても大切な仕事だと思っています。
医療の現場では無我夢中でスキルの習得や患者の方の対応にあたって来ましたが、介護の現場は落ち着いてゆっくりと利用者の方に寄り添った看護ができます。もちろん急患で救急車に乗って病院に行くなど、冷静な判断を求められる責任はありますが、やりがいを感じています。
取材を終えて
私も看護師としてNICU(新生児集中治療室)に勤めていた経験があるので、医療の現場から介護の現場に移られた宮本さんのお話はとても興味深かったです。昔はナースキャップがあって、それをかぶる宮本さんの姿を見て憧れたのか、娘さんは3歳頃から看護師になると言っていたそう。その夢を追い続け、長女さんは看護師に、次女さんは得意な英語を生かして海外の看護に興味を持って勉強に励んでいるそうです。
母娘そろって看護の仕事に携わられていますが、宮本さんのお話から、さまざまな働き方があるのだと改めて知ることができました。