Kidzacare Saga

インタビュー動画
医療法人 大和正信会 介護老人保健施設 しょうぶ苑
地域連携課 課長
理学療法士・介護支援専門員 久野真吾さん
理学療法士・介護支援専門員 久野 真吾さん

Q.子どものころ「介護の仕事」というとどんなイメージを持っていましたか

小さいころ、私のそばにお年寄りはいなかったのですが、なんとなく介護の仕事は、おじいさんやおばあさんが生活する場面で、食事をするお手伝いをしたり、お風呂に入るときにお手伝いをしたり、身の回りのお世話をする仕事と思っていました。

Q.なぜこの仕事を選びましたか

大学を卒業してから、お医者さんたちが読む本・医学書を販売する会社で働いていました。私は、その本を病院や看護学校、リハビリテーションを勉強する学校などに届けていました。そこで理学療法士の仕事について知りました。大学時代は、体育学部で長距離を走っていましたが、接点がありそうでなく、理学療法士のことは全然知りませんでした。
理学療法士はけがや病気で体が思うように動けなくなった人に歩いたり、立ったりする基本的な動きを練習して、回復や悪化しないようにする仕事です。私は元々、運動するのが好きなので、体が弱った人やけがをした人に運動の指導をして、体を良くしてあげたいと思って、理学療法士になろうと決めました。昼間は施設でリハビリの助手として働き、夜間は理学療法士の国家資格を取るために、専門学校に通いました。昼間の仕事はお年寄りが通う施設でしたので、そこで介護についても学ぶことができました。

Q.お仕事で印象に残ったエピソードを教えてください。

最初は、リハビリをより深く学ぶために病院で働きました。現在は介護老人保健施設(=老健)で働いています。老健は、主に加齢が原因で思うように体が動かなくなって、自宅で生活することが難しくなったお年寄りが入所されます。老健での理学療法士の役割は、体を動かすことが出来るようにリハビリをして、自宅に戻って生活ができるようにすることが目的です。
あるとき、60代の女性が入所されました。その方は首から下が麻痺して動けない状態でした。何もしなければ、おそらく一生そのまま動けない状態が続いたと思います。体が硬くならないように手と足の関節を曲げ伸ばしするなど、時間をかけてリハビリをしていきました。すると少しずつ手が動くようになり、足が動くようになって、最終的に歩行器を使って歩けるようになり、長い時間がかかりましたが、自宅に戻してあげることができました。
本人もリハビリを頑張られたし、ご主人も一生懸命に支えられました。私はそういう方と巡り合えて、回復のお手伝いができたことがとても嬉しかったですね。

Q.仕事で心がけていること、やりがいはなんでしょうか。

私たちは人を相手にする仕事です。高齢になって体がだんだん動かなくなってきて、よく話ができない方もいらっしゃいます。その方々にも「心がある」ということを忘れないようして、リハビリや身の回りのお世話など何かを始める前には必ず声掛けをするように心がけています。
でも、お年寄りから、この人は「嫌だ」と言われたら何もできませんからね。その方をよく理解して、その方に合った声掛けをしないとうまくいかないんですよ。普段は気難しい人が、私が声をかけると「いいよ」と受け入れて下さることもあります。お年寄りが安心して、私を頼ってもらえるようにすることが大事です。理学療法士や介護の仕事は奥が深いですよ。

小中学生のみなさん、保護者のみなさんへ

介護の現場は決してきついことばかりではありません。ほかの仕事にはないやりがいがあります。介護福祉士、看護師、理学療法士の仕事はみんな違う職種ですが、お年寄りの生活が良くなるように話し合ったり、協力したりしています。一緒にこの仕事をやっていけたらいいですね。皆さん、よろしければ、将来この仕事を選んでください。